ディスクブレーキ台座をフェイシングすることの重要性
安定した高い制動力を発揮するディスクブレーキも、ローターとキャリパーの位置が正しくなければ、
ブレーキパッドの引きずりによる音鳴りや、片効きによるパッドの偏摩耗、制動力の低下などを引き起こします。
特にディスクロードにおいては、ブレーキパッドの擦れは大きなロスに繋がるため、避けなければなりません。
本来、キャリパーを取り付ける2つの台座面は、水平かつディスクローターの面に対して垂直である必要があります。
しかし実際は、下の画像のように、加工誤差や塗装による厚みによって、あまり精度が出ていないケースが多いです。
この状態のままキャリパーを取り付けると、ローターに対してキャリパー自体が傾いた状態で固定されてしまうため、
パッドとローターの間で平行が出ず、パッドの引きずりや制動力の低下などのトラブルに繋がります。
このようなトラブルを避けるためにも、台座のフェイシングを行い、確実にキャリパーを装着しましょう。
セッティングについて
※DT-5.2 の使用にあたり、セッティングは最も重要なポイントです。必ずご確認ください。
マウント規格やアクスルのタイプ・径の違いによって、使用する部品が異なります。
部品点数が多いため、DT-5.2の取扱説明書末尾にある展開図とパーツナンバーを確認しつつ、セッティングを行ってください。
マウント規格ごとのセッティング方法は以下のリンクをご参照ください。
フェイシング作業
DT-5.2 が正しくフレーム(フォーク)に装着できていないと、フェイシングは行えません。
上述の「セッティングについて」をまだご覧いただいていない場合、以下の手順には入らないでください。
作業におけるご注意
※カーボン製やチタン製のフレーム(フォーク)の場合、台座のフェイシングには特別な配慮が必要です。
詳細は以下のリンクをご参照ください。
※必要以上にカッターを押し付けないでください。カッターの寿命を大きく縮めるだけでなく、
フレーム(フォーク)や工具を破損させる恐れがあります。
手順① 切削油の塗布
台座に切削油を塗布します。
※カーボンフレーム用フェイスカッター(別売品)では水を使う必要があります。詳細はこちらをご確認ください。
手順② カッターのセット
カッターアーム固定ボルトを少しだけ緩め、カッターを台座にセットします。
その後、ボディ固定ボルトを締めこみます。
※DT-5.2 が正しくフレーム(フォーク)に装着できていないと、フェイシングは行えません。
上述の「セッティングについて」をまだご覧いただいない場合、以下の手順に移らないでください。
※ボディ固定ボルトは絶対に緩めないでください。
ここが緩むとカッターアームの角度が狂い、セッティングをやり直す必要があります。
手順③ 台座(奥)のフェイシング
ノブを回してフェイシングを行います。
片方の台座だけを削りすぎないように、時折カッターを持ち上げ、削り具合を見ながら作業を進めてください。
写真のように、切削した面が一周繋がればOKです。
手順④ カッターの可動域の設定
もう片方の台座を、手順③でフェイシングした高さ以上に削らないために、ストッパーを使ってカッターの可動域を設定します。
カッターを台座(奥)に当てた状態のまま、ストッパーをスライダーに当てて、固定します。
※この時、スライダーとストッパーの間に隙間ができないようご注意ください。
手順⑤ 台座(手前)のフェイシング
カッターアーム固定ボルトを緩め、カッターを台座(手前)に移動させてください。
カッターをセットしたら、再びカッターアーム固定ボルトを締め、フェイシングを開始します。
※台座の高低差が大きい場合、フェイシングに入る前にストッパーに当たってしまうことがあります。
その場合はストッパーを解除し、手順③を参考に台座(手前)をフェイシングしてください。
フェイシングが完了したら、台座(手前)と台座(奥)を逆に読み替えて、手順⑥に進んでください。
台座(手前)をフェイシングしていくと、やがてストッパーに当たり、切り進めなくなります。
カッターアームを持ち上げて切削面を確認してください。
写真の状態だと、切削した面が一周繋がっていないため、面を出すためにもう少しフェイシングする必要があります。
手順⑥ 台座(手前)のフェイシング
ストッパーを解除し、台座(手前)の切削面が一周繋がるまでフェイシングします。
その後、ストッパーを固定してカッターの可動域を設定します。
手順⑦ 台座間の高さ調整
手順⑥で両方の台座の面が出ましたが、まだ台座間の高さが揃っていません。
カッターを台座(奥)に移動させて、ストッパーに当たって切り進めなくなるまでフェイシングします。
これで両方の台座の高さが一致しましたので、作業を終了します。
参考動画(英語/日本語字幕あり)
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